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おならがくさい

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おならの「臭さ」と「多さ」は腸のサインです。
食事・腸内細菌・病気の関係を専門的に解説します

おならが臭い・おならが多いという症状は、食事内容や腸内細菌のバランスによって生じることが多いとされていますが、過敏性腸症候群(IBS)や炎症性腸疾患など消化器の病気が関係しているケースもあるとされています。

前半では、おならの「臭さ」と「多さ」の原因をわかりやすく整理します。後半では、腸内細菌のガス産生メカニズムやIBSとの関係についてガイドラインに基づいて専門的に解説します。

🔰 まずはここから(やさしい解説)

「臭い」と「多い」で原因が違う

👃 臭いが強い

硫化水素・インドール・スカトールなど、悪臭成分の産生が増えているサイン

  • 動物性たんぱく質・脂質の摂りすぎ
  • 腸内細菌叢のバランス悪化(ディスバイオシス)
  • 便秘による腸内滞留時間の延長
  • IBS(特に下痢型)での硫化水素過剰産生

💨 回数・量が多い

腸内でのガス産生そのものが増えているサイン

  • 発酵性の高い食品の過剰摂取(豆類・芋類・玉ねぎなど)
  • 空気の飲み込み過ぎ(呑気症)
  • SIBO(小腸内細菌異常増殖症)
  • 過敏性腸症候群(IBS)
  • 乳糖不耐症

おならを臭くしやすい食べ物・改善に役立つ食べ物

⚠️ 臭くなりやすい食べ物

  • 肉類・卵・乳製品(動物性たんぱく質)
  • ニンニク・ネギ・玉ねぎ
  • アルコール
  • 揚げ物・脂質の多い食事

✅ 改善に役立つとされる食べ物

  • 食物繊維(水溶性:海藻・ごぼう・オートミール)
  • 発酵食品(ヨーグルト・味噌・納豆)
  • オリゴ糖を含む食品

※ 食事内容はあくまで関与する要因の一つです。改善効果には個人差があり、特定の食品で症状が必ず改善されるとは言い切れません。

⚠️ このサインがあれば受診を検討

  • 🩸 血便・粘血便を伴う
  • ⚖️ 体重が減ってきた
  • 😣 腹痛・腹部膨満感が強い
  • 🔄 下痢と便秘を繰り返す
  • 📅 症状が数週間以上続いている
  • 🎂 40歳以降で急におならが臭くなった・増えた

おならの臭さや回数の増加だけでは病気を確定することはできませんが、血便・体重減少・強い腹痛などを伴う場合は、炎症性腸疾患や大腸がんなど詳しい検査が必要な病気が関係している可能性も考えられるとされています。

🔬 ここから専門解説

ここからはガイドラインや研究知見を踏まえ、ガスの発生メカニズムから病態まで専門的に解説します。

腸内ガスが発生するメカニズム

腸内ガスの主成分は窒素(N₂)・水素(H₂)・二酸化炭素(CO₂)・メタン(CH₄)・硫化水素(H₂S)とされています。このうち無臭のものが大部分を占めますが、硫化水素・インドール・スカトール・アンモニアなどの微量成分が腐敗臭・硫黄臭の原因になると考えられています。

日本消化器病学会の広報誌では、腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスが崩れた「ディスバイオシス」の状態になると、特定の菌種が優位になりガス産生量や組成が変化し、過敏性腸症候群・炎症性腸疾患などの発症と関連する可能性があると紹介されています。

IBS下痢型と硫化水素の関係

日本消化器病学会「過敏性腸症候群(IBS)診療ガイドライン2020」では、IBSの病態に腸内細菌叢の変化が関与することが示されており、特に下痢型IBS(IBS-D)では腸内細菌叢の構成が健常者と異なることが報告されています。

近年の研究では、IBS-DではRuminococcus gnavusの増加とともに硫酸還元経路(SO₄ASSIM)が活性化し、硫化水素(H₂S)が過剰産生されることで腸粘膜が刺激され下痢症状が引き起こされる可能性が報告されています。硫化水素は特有の「腐卵臭(硫黄臭)」の原因物質の一つとされており、IBS-Dに伴う臭いの強いおならには、こうした腸内細菌代謝の変化が関係している可能性が考えられています。

※ IBS-Dにおける硫化水素過剰産生のメカニズムは現在も研究が進められており、確定的な診断基準や治療法は現時点で確立されているわけではありません。

SIBO(小腸内細菌異常増殖症)とガス産生

SIBOは、通常は細菌が少ない小腸内に大腸型の細菌が過剰に増殖し、食事から摂った炭水化物が小腸内で発酵されて水素・メタン・硫化水素などのガスが多量に産生される病態です。腹部膨満感・おならの増加・げっぷ・下痢・便秘などが症状として現れることがあるとされています。

SIBOは日本においてまだ確立した診療ガイドラインが整備されていない段階とされていますが、IBSと症状が重複することが多く、IBSと診断されていたケースの中にSIBOが関与している可能性が指摘されています。診断には水素呼気試験などの専門的な検査が必要とされています。

乳糖不耐症とガスの関係

乳糖(ラクトース)を分解する酵素(ラクターゼ)の活性が低い場合、摂取した乳製品の乳糖が小腸で消化されず大腸に送られ、腸内細菌によって発酵・ガス化されることで腹部膨満・下痢・おならの増加が生じることがあるとされています。日本人を含むアジア人では成人後にラクターゼ活性が低下する「乳糖不耐症」が比較的多いとされています。

炎症性腸疾患(IBD)との関係

潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患(IBD)でも、腸内細菌叢の変化(ディスバイオシス)が生じ、腹部膨満・おならの増加・臭いの変化が症状として現れることがあるとされています。日本消化器病学会「炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン2020」では、IBDにおける腸内細菌叢の変化が病態に関与する可能性が示されています。IBDでは血便・腹痛・発熱を伴うことが多く、これらの警告症状がある場合には大腸内視鏡検査による評価が必要とされています。

よくある質問

Q. おならが硫黄臭い(腐卵臭)のはなぜですか?

硫黄臭の主な原因は、腸内細菌による硫化水素(H₂S)の産生とされています。動物性たんぱく質に含まれる含硫アミノ酸(メチオニン・シスチンなど)が腸内細菌によって代謝される際に硫化水素が発生しやすくなるとされています。IBS下痢型では特定の細菌による硫化水素の過剰産生が関与している可能性が研究で報告されています。

Q. おならが多い・臭いだけで大腸カメラは必要ですか?

おならの症状のみでは大腸カメラが必須とは言えませんが、血便・体重減少・強い腹痛・便通の大きな変化などを伴う場合は、炎症性腸疾患や大腸がんなどの除外を目的に大腸内視鏡検査が検討されます。40歳以上で急に症状が変化した場合も、一度消化器内科で相談することが望ましいとされています。

Q. 腸内環境を改善するために何ができますか?

食物繊維(特に水溶性食物繊維)・発酵食品・オリゴ糖の摂取が腸内細菌叢の多様性維持に役立つ可能性があるとされています。ただし、発酵性の高い食品(FODMAPと呼ばれる一部の糖質)はIBSの症状を悪化させる場合があることも報告されており、症状がある場合は自己判断だけでなく医師への相談が望ましいとされています。

まとめ

おならの臭さや回数の増加は、食事内容・腸内細菌叢のバランス・便秘・IBS・SIBOなど複数の要因が関与していると考えられています。

特に血便・体重減少・強い腹痛を伴う場合や、40歳以降で急に症状が変わった場合は、炎症性腸疾患や大腸がんの可能性も念頭に置き、消化器内科での評価が望ましいとされています。

「体質だから」と放置せず、気になる変化があれば原因を確認することが重要とされています。

監修

医師監修:端山 軍 医師

医学博士/帝京大学医学部外科学講座非常勤講師
日本外科学会認定 専門医・指導医
日本大腸肛門病学会認定 専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会認定 専門医・指導医
日本消化器外科学会認定 専門医・指導医
日本消化器病学会認定 専門医・指導医

参考文献

  • 日本消化器病学会(編)「過敏性腸症候群(IBS)診療ガイドライン2020」南江堂、2020年
  • 日本消化器病学会(編)「炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン2020」南江堂、2020年
  • 日本消化器病学会 健康情報誌「消化器のひろば」No.18-6「腸内フローラと疾患」
  • Gurry T, et al. Gut microbiome composition and function in hydrogen sulfide-producing IBS. Gut Microbes, 2021.
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