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腹部膨満

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食べてないのにお腹が張る…その違和感、放っておいて大丈夫?

お腹が張る・ガスが溜まって苦しいという「腹部膨満感」は、多くの方が経験する症状です。

食事内容や便秘など生活に関係するものが多いと言われていますが、まれに病気が関わっているケースもあるとされています。この記事は前半でサクッとセルフチェックできる内容、後半はガイドラインに基づいた専門的な内容として構成しています。

🔰 まずはここから(やさしい解説)

「お腹の張り」ってどんな状態?

腹部膨満感とは、お腹が実際に張っている、またはそのように感じる状態を指すとされています。腸の中にガスが溜まっている場合もあれば、見た目には大きな変化がなくても「張っている感じ」だけを自覚する場合もあると言われています。

お腹の張りの主な原因タイプ

🍽 生活・食事

  • 早食い・炭酸飲料
  • 豆類・芋類など発酵性の高い食品
  • 便秘の併発
  • ストレス・自律神経の乱れ

🔬 機能性の病気

  • 過敏性腸症候群(IBS)
  • 機能性ディスペプシア(FD)
  • SIBO(小腸内細菌異常増殖)

⚠️ 器質的な病気

  • 大腸がん・卵巣腫瘍などの腫瘍
  • 腹水を伴う肝臓・心臓の病気
  • 腸閉塞

⚠️ このサインがあれば早めに相談を

  • 📏 お腹の張りが急に・短期間で進んだ
  • ⚖️ 体重が減ってきた
  • 🩸 血便や下血を伴う
  • 🍽 食欲がない、すぐに満腹になる
  • 😣 強い腹痛を伴う
  • 🎂 50歳以降で初めて強い張りを感じるようになった

一時的なガスの蓄積であれば心配のないことが多いとされていますが、これらのサインを伴う場合は、腫瘍や腹水など、より詳しい検査が必要な病気が関係している可能性も考えられるため、早めに医療機関で相談することが望ましいとされています。

🔬 ここから専門解説

ここからは、ガイドラインや専門誌の知見を踏まえて、もう少し専門的に解説します。

機能性ディスペプシア(FD)との関係

日本消化器病学会「機能性消化管疾患診療ガイドライン2021 機能性ディスペプシア(FD)」では、Rome IV基準に基づき、FDの中心となる4つの症状の一つとして「食後膨満感」が位置づけられています。器質的な異常がないにもかかわらず、慢性的にみぞおち周辺の症状(食後の膨満感・早期満腹感・心窩部痛・心窩部灼熱感)を訴える状態とされ、胃の運動機能や知覚過敏、心理社会的な要因などが関係していると考えられています。

過敏性腸症候群(IBS)との関係

日本消化器病学会「過敏性腸症候群(IBS)診療ガイドライン2020」でも、腹部膨満感はIBSに伴いやすい症状の一つとして扱われています。腸の動きの異常や内臓知覚過敏、腸内細菌の影響などが複合的に関わっていると考えられており、下痢や便秘を伴うことも少なくないとされています。

SIBO(小腸内細菌異常増殖症)という考え方

近年、腹部膨満感の原因の一つとして「SIBO(Small Intestinal Bacterial Overgrowth、小腸内細菌異常増殖症)」という疾患概念が注目されています。本来は細菌が少ない小腸内で細菌が異常に増殖し、ガスを多く産生することで腹部膨満感やおならの増加、下痢などが生じると考えられています。糖尿病や強皮症、消化管の手術歴などによって腸の動きが低下することが背景にあるとされる一方、過敏性腸症候群と考えられていたケースの中にSIBOが含まれている可能性も指摘されています。

※ SIBOは日本においてはまだ確立した診療ガイドラインが整備されている段階ではなく、専門医の間でも認識が一様ではないとされています。診断には水素呼気試験などの専門的な検査が必要であり、現時点では今後の研究の進展が期待される領域と位置づけられています。

大腸カメラ・胃カメラが検討される目安

腹部膨満感の多くは機能性の病態に関連するとされていますが、便秘や腸の機能異常と紛れて、大腸がんや卵巣腫瘍などの器質的な病気が背景にある場合もあるため、症状の経過によっては内視鏡検査や画像検査による評価が検討されます。

  • 張りが急速に進行している、または持続している
  • 体重減少や食欲不振を伴う
  • 血便・下血を伴う
  • 50歳以降で初めて症状が出てきた
  • 市販薬や生活改善で症状が変わらない

よくある質問

Q. おならが多いのも病気のサインですか?

おならが多いこと自体は、食事内容や腸内環境の影響によることが多いとされ、必ずしも病気を意味するものではありません。ただし、強い腹部膨満感や便通の変化を伴う場合は、過敏性腸症候群やSIBOなどが関係している可能性も考えられています。

Q. お腹の張りを和らげるためにできることはありますか?

早食いを避け、炭酸飲料や発酵性の高い食品(豆類・一部の野菜など)を控えること、適度な運動で腸の動きを促すことが症状の緩和に役立つ場合があるとされています。便秘を伴う場合は、便秘自体の改善も重要と考えられています。

Q. SIBOは誰でも調べられる検査ですか?

SIBOの診断には水素呼気試験などの専門的な検査が必要で、実施できる医療機関は限られているとされています。気になる場合は、消化器内科で相談することが勧められています。

まとめ

お腹の張り(腹部膨満感)の多くは、食事や便秘、過敏性腸症候群や機能性ディスペプシアといった機能性の病態に関連するとされていますが、まれに腫瘍など器質的な病気が背景にあることもあります。

体重減少や血便、急速な進行などのサインを伴う場合には、内視鏡検査による評価が検討されます。

「いつものガス」と決めつけず、気になる変化があれば医療機関で相談することが望ましいと考えられています。

監修

医師監修:島田竜 医師

医学博士/さいたま市民医療センター 大腸外科部長
日本外科学会認定 専門医
日本大腸肛門病学会認定 専門医
日本消化器内視鏡学会認定 専門医
日本消化器外科学会認定 専門医

参考文献

  • 日本消化器病学会(編)「機能性消化管疾患診療ガイドライン2021 機能性ディスペプシア(FD) 改訂第2版」南江堂、2021年
  • 日本消化器病学会(編)「過敏性腸症候群(IBS)診療ガイドライン2020」南江堂、2020年
  • 中島淳ほか「小腸内細菌増殖症(SIBO)の病態と治療」診断と治療 110巻7号、2022年
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